タスク管理は、仕事には必ずついてまわる「基本であり重要な作業」です。
にも関わらず、タスク管理の手法というのは、あまり人から教わることはありません。
この記事では、私が実践して最も効率的な【GTD(Getting Things Done)】という手法を紹介します(厳密にはGTD風ですが)。もちろん今も継続してこの手法でタスク管理しています。
タスク管理にこそ能力の差が現れる
記事冒頭でも述べた通り、タスク管理は基本かつ重要にも関わらず人から教わることは少ないです。
タスク管理に関して、その重要性に気付き、自分なりに調べてみたり、改善を図ったり、試行錯誤する人もいれば、
重要だと思わず、まったく調べたりせず、記憶に頼る人、問題が起きても謝って済ます人など、さまざまです。
だからこそ、仕事の能力の差が現れるとも言えます。
タスク管理が下手な人で仕事が出来る人を見たことがありません。
逆に、仕事が出来ない人でタスク管理だけ出来る人も見たことがありません。
タスク管理は出来るけど、仕事が出来ない人は・・・いるかもしれませんね(笑)。
タスク管理は業務効率化のための必須スキル
そもそも、なぜタスク管理を行うのか?
それはタスク管理から解放されて仕事に集中するためです。
ん?タスク管理から解放されるためにタスク管理?おかしくない?
と思いましたか?大丈夫、おかしくありません。これから説明します。
例えば、身の回りでこんなことはありませんか?
仕事の進捗が遅くて、何度も何度も納期を延ばす人がいます。
そのせいで後工程に迷惑がかかり、そのたびに関係者が集まって再スケジュールする。
でもまた遅れてしまって、再スケジュールを繰り返す羽目になっている。
これは、スケジューリングがうまく出来ていないためにスケジューリングが発生しています。つまり、スケジューリングにとらわれている状況です。
これをタスク管理に置き換えると分かりやすいと思います。
タスク管理も見落としや失念などにより、重要なものであっても注意を向けていない間に管理から漏れることが往々にしてあります。そのたびに、
- タスクは何があったっけ?
- プロジェクトの締め切りはいつだっけ?
- あのタスクは誰がボールを持ってるの?
と、同じ確認を何度も繰り返すことになります。
だから、上手いタスク管理は「タスク管理の繰り返しから脱出し、仕事に集中するためのスキル」と言えるのです。
タスク管理が効率よく出来れば、仕事の効率化につながることは言わずもがなです。これまで繰り返していたタスク管理の工数が仕事を進めることに充てられるのですから。
【タスク管理手法】GTDとは?
Getting Things Done(略称:GTD)とは、デビッドアレン氏が提唱した個人のタスク管理手法です。2002年に”Getting Things Done”という本で提唱されているようです。
概要を簡単に説明しますと、抱えている仕事などの気になることをすべてに対し、
- 把握する
- 見極める
- 整理する
- 更新する
- 選択する
というステップを行います。
まずは、すべての気になることをアウトプットして【把握】する。
把握したものがすぐに対応できるか【見極め】る(すぐできるものはすぐ片付ける)。
そして、すぐに出来ないものを【整理】する。
整理されたものは定期的に状況を【更新】し、その状況に応じて行動を【選択】する。
さらに詳細を知りたい場合は、インターネットで検索したり、書籍を参照して頂ければと思います。
具体的なGTDの実践方法は?
では、実際に私が実践しているメールによるGTD風なタスク管理手法を紹介します。
この方法ではタスクをすべてメールで管理します。メーラーを開けば、管理すべきタスクがどれだけあるかが分かるようになります。
準備編:メールフォルダの編集
やり方は簡単です。メールの受信フォルダを使います。
まず、メールの受信箱を以下のように構成します。
フォルダ名 | 概要 | 用途 |
Inbox | 全タスクが入っている | 本フォルダ内にあるメールには対応が必要 |
Archive | 対応済みタスクを入れる | 対応済みだったり、対応が不要なメールの移動先 |
メールが届いた際、最初に入る”受信箱”があると思いますが、ここを【Inbox】フォルダとします。そしてもう一つ【Archive】フォルダを準備します。
メールが届いたら、必ずInboxフォルダに入るようにしておいてください。
また、メールを送信する際には、自分をBCCに入れるようにしましょう。
実施編1:タスクの把握、洗い出し
メールの準備が出来たら、まずは、自分が抱えているすべてのタスクをメールに書いて自分に送信します。
※タスクが複数ある場合は、複数のメールで送ってください。1タスク1メールです。
また、「何を」「どうしないといけない」かが分かるように送っておきましょう。
実施編2:タスクを見極め、整理する
タスクの把握が終わったら、Inboxフォルダに入っているメールをすべて確認します。
この時、何も対応する必要がないメール(単なる情報共有メールなど)はすべてArchiveフォルダに移動させます。
また、返信すればすぐ完了するようなものはこのタイミングで片付けておきましょう。
この際の注意点としては、BCCで自分にもメールが届くようにすることです。相手の返信待ちが必要な場合、そのメールをInboxフォルダに残しておきます。相手の返信を待つ必要がなければ、Archiveフォルダに移動させましょう。
この作業を進めていくとInboxフォルダには何かしらの対応が必要なタスクだけが残りますので、タスクリストが出来上がったと言えます。このタスクリストから、自分が行動しないと進まないものをTodoリストなどに落とし込みます。
あとはTodoリストで管理するなり、優先度を付けるなどして、作業を進めましょう。
※Archiveフォルダへの移動タイミングはタスク完了時です。Todoリストへ落とし込んだだけでは移動禁止です。
実施編3:タスクの状況を更新する
Inboxの内、自分が進めるものには着手していますが、他人が動くべきものは放置されています。しかし、Inbox内には依然として残っていますので、漏れることはありません。
ですので、例えば、毎朝のメールチェックでInboxを確認すれば、他人のタスクに対しても注意を払うことができるようになります。締め切りなどがあれば、数日前に注意喚起のメールを送付することも可能です。
このようにInboxに入れてさえおけば、漏れることはないですし、メールチェックはほぼ毎日する行為ですので、タスクの状況を更新する仕組みが構築できます。
Todoリストとの違いは「管理対象」と「作業規模」
ちなみにGTDとTodoリストの違いが分かりにくいかな、と思ったので、私の考えを記載しておきます。
過去の記事で、Todoリストに関して述べていますが、Todoリストもタスク管理という意味では同じツールです。
私が考えている、GTDとTodoリストの大きな違いは「管理対象」と「作業規模」です。
手法 | 管理対象(人) | 作業規模 |
GTD | プロジェクト関係者全般 | 大~小 |
Todoリスト | 自分 | 小 |
上記の表がすべてなのですが、GTDの方が管理する粒度が荒いです。対してTodoリストは粒度が細かく、1Todoが1アクションになっているイメージです。
簡単な例を挙げてみます。例えば、仕様書を作成する際には
GTD:
- 仕様書をYYYY/MM/DDまでに作成、リリース
Todo:
- 仕様書の作成
- 仕様書のレビュー依頼
- 仕様書の修正
- 仕様書の承認
- 仕様書のリリース
という風に、Todoリストには作業を分解して記載します。
こうして管理を分けることで、今、自分が何をすべきかが明確になりますし、全体の俯瞰も抜け漏れなく実施できるようになります。
タスク管理手法に正解はない
本記事で私が実践しているタスク管理手法を紹介しましたが、これは私にとって現時点の最適解ですが、正解ではありません。そして、皆さんにとっては最適解ですらないかもしれません。
人によって考え方や進め方が違うように、タスク管理手法も人によって異なります。
あなたにとっての最適なタスク管理手法は、あなた自身にしか見つけられません。
しかし、こんな記事にまで目を通してくださったあなたなら、試行錯誤して、最適なタスク管理手法を見出せることと思います。
本記事が、あなたの最適解を見つける一助になれたなら、幸甚に存じます。
本記事にも通ずるところがありますが、メール返信について書いた記事も読んでみてください。
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